【窪田剛の注目株】盛りだくさんの5月相場で特に光ったのは? 目が離せない銘柄と、避けるべき銘柄


2025年5月相場を振り返って

メタプラ! グロース! TOB!

大きなニュース目白押しの1か月が終わりました。決算発表も多く、大きな動きのある1カ月となりましたが、いちばん大きな出来事は……いや、全部ですね。メタプラも、グロースの躍進も、各社のTOBも、ひとつひとつが一冊の本にできるほど話したいことがあります。

盛りだくさんの5月となりましたが、今後のためにもしっかりと振り返っておきましょう。さらっとね、さらっと。

指数4月終値5月終値騰落率
日経平均株価36,045円37,965円+5.33%
グロース250指数676ポイント745ポイント+10.21%
ダウ平均株価40,669ドル42,270ドル+3.94%

5月相場で上がった株・下がった株

そんな2025年5月の株式相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄/データ提供:カブケーションズ)。

・2025年5月の売買代金トップ20

コード銘柄売買代金
17011三菱重工業4.22兆円
27012川崎重工業3.74兆円
36146ディスコ3.45兆円
45803フジクラ3.24兆円
56857アドバンテスト2.39兆円
68306三菱UFJフィナンシャル・グループ2.02兆円
78136サンリオ1.94兆円
88035東京エレクトロン1.79兆円
97013IHI1.62兆円
107203トヨタ自動車1.47兆円
117974任天堂1.43兆円
126920レーザーテック1.43兆円
136758ソニーグループ1.32兆円
148316三井住友フィナンシャルグループ1.09兆円
153350メタプラネット9767億円
169984ソフトバンクグループ9637億円
176098リクルートホールディングス9252億円
186501日立製作所8941億円
199983ファーストリテイリング8856億円
208411みずほフィナンシャルグループ8768億円

・2025年5月の値上がり率トップ20

コード銘柄値上がり率
16574コンヴァノ+185.3%
23350メタプラネット+177.8%
37044ピアラ+163.5%
44935リベルタ+97.8%
56521オキサイド+83.7%
62160ジーエヌアイグループ+81.9%
74222児玉化学工業+81.5%
87932ニッピ+77.2%
97094NexTone+71.6%
105258トランザクション・メディア・ネットワークス+71.2%
11341Aトヨコー+70.7%
125591AVILEN+69.4%
139066日新+69.1%
14153Aカウリス+68.8%
153850NTTデータイントラマート+66.9%
167318セレンディップ・ホールディングス+66.6%
175337ダントーホールディングス+66.4%
184584キッズウェル・バイオ+65.8%
195892yutori+64.7%
206095メドピア+63.0%

・2025年5月の値下がり率トップ20

コード銘柄値下がり率
17273イクヨ-89.4%
2260Aオルツ-64.5%
39399ビート・ホールディングス・リミテッド-43.8%
4264ASchoo-42.1%
54413ボードルア-40.5%
64288アズジェント-36.6%
73137ファンデリー-31.5%
85027AnyMind Group-31.5%
92432ディー・エヌ・エー-27.7%
107603マックハウス-27.4%
119612ラックランド-26.8%
12278ATerra Drone-26.8%
139341GENOVA-25.5%
148119三栄コーポレーション-24.8%
156736サン電子-24.8%
167780メニコン-22.8%
175033ヌーラボ-22.6%
189704アゴーラホスピタリティーグループ-22.2%
198897MIRARTHホールディングス-21.0%
207774ジャパン・ティッシュエンジニアリング-20.6%

5月相場でプロが気になった銘柄

このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。

「下げ止まったぞ」という感じも

売買代金ランキング

【第3位】ディスコ<6146>・・・・・・・・3.45兆円
【第4位】フジクラ<5803>・・・・・・・・3.24兆円
【第5位】アドバンテスト<6857>・・・・・2.39兆円
【第8位】東京エレクトロン<8035>・・・・1.79兆円
【第12位】レーザーテック<6920>・・・・・1.43兆円
【第16位】ソフトバンクグループ<9984>・・ 9637億円

生成AI関連への注目度合いが下がり続け、売買代金ランキング上位20位のうち6銘柄まで減っています。

ですが、29日に発表されたアメリカのエヌビディア<NVDA>の決算がよく、株価は高値圏にあります。エヌビディアがここから大きく上昇するかどうかはわかりませんが、ここでピックアップしたような銘柄はいま現在、安値圏から反発してきたところです。

以前に付けた高値まではまだまだ遠く、出来高というエネルギーも十分とは言えませんが、「下げ止まったぞ」という感じはあります。ここから反発していけるかは疑問も残りますが、監視を続けておき、出来高というエネルギーが増えてきたらチャンスがあるかもしれません。

視界の隅っこでいいので監視を続けておきましょう。

今からでも十分間に合う

売買代金ランキング

【第1位】三菱重工業<7011>・・・4.22兆円
【第2位】川崎重工業<7012>・・・3.74兆円
【第9位】IHI<7013>・・・・・1.62兆円
【第39位】三井E&S<7003>・・・4370億円

防衛3社と旧財閥系の重工1社をピックアップ。4銘柄すべて高値更新してきました。強い。売買代金も十分。

自分に言いたい。なぜこれらの銘柄を5月の主力にしなかったんだ!と。毎日チェックはしていたものの、どうしてもグロース市場の値動きの軽い銘柄に目移りしてしまい、主力にはしませんでした。自分、浮き足立っていました。

大きな売買代金、大きなエネルギー。じわりじわりと前線を拡大していき、気づけば日本のマーケットの主力になっています。今後も目が離せません。今からでも十分間に合う。6月は君たちが俺の主力だ!

こういう銘柄を避けるために

値下がり率ランキング

【第2位】オルツ<260A>・・・-64.5%

AIを利用したサービスを展開している会社ですが、契約数や売り上げを水増ししていたとして事件になっています。

監査法人や主幹事証券、東証も、事前に審査しているはずですが、昨年10月に上場してしまいました。事件が発覚した後は売りが殺到しており、株価は発覚前の400円から90円まで下落(マイナス78%)しています(5月だけで見ると257円から91円で、マイナス64.5%)。

AIに関しては注目も浴びているし、いまは半導体や電線などのいわゆるインフラに資金が集まっていますが、AIを利用したサービスの会社がどんどん出てくるのは本来とてもいい流れです。ですが、こうした状況を利用して不正を行う会社も、残念ながら出てきてしまいます。

こういうことはマーケットでは必ず起こりますが、私が普段行っているトレードでは、こういった銘柄はそもそも候補銘柄にも上がってきません。

私がお勧めしている「流動性の大きさ」というのは、こうした銘柄を避けるためのひとつのフィルターになります。完璧に防ぐことは難しいですが、今回のようなことは防ぐことが出来ますし、今後も機能するフィルターだと考えています。

自分が手掛ける銘柄は、「みんなが買っているから」「SNSでお勧めされているから」といったあいまいな理由ではなく、しっかりと自分の基準をもって銘柄を選ぶようにしましょう。そのひとつの答えが「流動性」だと思っています。

あまりおすすめはできませんが

値上がり率ランキング

【第2位】メタプラネット<3350>・・・+177.8%(売買代金15位:9767億円)

大きな注目を浴びました。

ビットコインを買うだけの会社なのにビットコインの価値の何倍もの株価がついているため、多くの機関投資家が空売りをしていましたが、その踏み上げもあって、大きく値を飛ばしました。

2025年5月19日時点でビットコインを7800BTC保有しており、追加で680BTCほど買うための資金調達もしています。これはビットコインが値上がりする前提であり、すでにビットコインの価値の5倍ほどの時価総額(BTCの価値が1400億ほどで時価総額が6000億円ほど)になっていて、どう考えても割高です。

しかしながら、暗号資産の持つ魅力、人を引き付けるお金の匂い、それに加えて空売りの踏み上げも重なり、引き続き高値圏で推移しています。

私は、この銘柄だけは苦手だったので距離を置いてきましたが、さすがにこの5月は売買代金というエネルギーが膨大だったため、取引しました。いまのところ、今後の値動きにも注目せざるを得ないと考えています。

それでも、この銘柄はあまりお勧めできません。

難易度も高いし、それ以外にも「暗号資産ゆえの危うさ」を感じるからです(暗号資産を本当に保有しているのか? 保有していたとしても、それをきちんと保管できているのか? 盗難の心配はどうなんだ?……などなど心配が尽きません)。

なにより、他の銘柄で大きなチャンスはいくらでもあるのですから。

トレードの王道は、近道でもある

ランキングからのピックアップにはなりませんでしたが、5月のトピックはまだまだあります。それは、グロース市場の躍進とTOBです。

グロース市場はこの1か月で指数が10%以上も上昇しました。とはいえ、全体が買われたというよりも、少数の銘柄に集中して資金が入っており、それらの指数への影響度が大きいためだと考えられます。それでも、グロース銘柄の強さを感じる1か月となりました。

そしてもうひとつ、それがTOBです。

豊田自動織機<6201>の株式非公開化、NTT(日本電信電話<9432>)による住信SBIネット銀行<7163>のTOB、他にも、イオン<8267>や牧野フライス製作所<6135>といった大手プレイヤーも続々とTOBを発表しています。

こういったダイナミックな動きがあると、マーケットが活性化しますね。とてもいい流れだと思っています。

でも、だからといって「次のTOBを探すぞ!」ということではありません。日々しっかりとチャートを見て、本質的なことを淡々と行っていくことこそが王道であり、近道だと考えています。

マーケットには、日々刺激的なことがありますが、ニュースやSNSに惑わされず、地に足を付けて6月以降もしっかり稼いでいきましょう。

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窪田 剛