プロトレーダーの注目株 2022年11月編
来るか、年末ラリー! プロが期待を寄せる業種・銘柄と、気になるマネーゲームの行方
日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか?
講師の窪田剛が、3つのランキングから11月相場を振り返ります。
11月相場を振り返って
マネーゲーム!!
いやぁ、歴史に残るマネーゲームが繰り広げられた11月となりました(本稿執筆時点では、まだ続いている)。それは後半で詳しくお話しするとして。
それよりも「年末ラリーあるか!?」ということのほうが、今後は重要かなと思っています。
10月相場の記事で「底入れ感」があると書いたのですが、11月もその流れを引き継いで、日経平均株価は一時28,000円を回復し、28,500円にタッチする場面もありました。終値こそ28,000円を割り込んでしまいましたが、ここ2か月だけで見ると上昇の兆しがあります。
これが継続するなら買い。そうじゃないなら売り、もしくは様子見。年末に向けてもう一発、大きな上昇を期待させてくれる、そんな1か月となりました。
マネーゲーム……じゃなかった。年末ラリー楽しみだぜ!
11月相場で上がった株・下がった株
そんな2022年11月の株式相場を、売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄/データ提供:CMBトレード塾)。
・2022年11月の売買代金トップ20
・2022年11月の値上がり率トップ20
・2022年11月の値下がり率トップ20
11月相場でプロが気になった銘柄
このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。
・売買代金ランキング
【第1位】レーザーテック<6920>………6.59兆円
【第3位】東京エレクトロン<8035>……1.30兆円
後半に足踏みしてしまったものの、前半は10月からの力強い上昇を引き続き見せてくれました。後半の足踏みは息切れじゃなく、年末そして来年に向けた調整期間とみることもできます。
年末もしくは2023年に向けて、花開くか半導体! 注目です。
【第8位】三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>……7520億円
【第9位】三井住友フィナンシャルグループ<8316>…………7463億円
メガバンク2行がランクイン。でも11月は、メガバンクだけでなく地銀も含め、銀行が全般的に力強く推移しました。業績が好調で自社株買いを発表したり、世界的な金利上昇による今後の業績期待も高く、「あれ、もしかして2023年は銀行の年か?」と思えるような上昇となりました。
ちょっと銀行は見ておく必要があるかも?
【第14位】三菱商事<8058>……5629億円
【第17位】三井物産<8031>……4794億円
(第41位・伊藤忠商事<8001>、第52位・丸紅<8002>、第64位・住友商事<8053>)
いわゆる五大商社です。世界でいちばん有名な投資家、ウォーレン・バフェット氏がこれら五大商社を買い増ししたというニュースとともに注目が集まり、株価も上昇しました。
何度も言っているのですが、誰が買ったとか、注目しているとか、お勧めしているとか……そういったきっかけで株を買うのはやめてくださいね。
きっかけとしてそうした情報があったとしても、きちんと自分で調べて、自分のタイミングで売買の判断をすること。そうしなければ、いつまでたっても「勝ち続ける」ことはできません。あなたが商社を買って損しても、バフェットは何もしてくれません。
もちろんそれは、どんな相手でも同じです。他人に依存せず、しっかりと自分自身で判断していけるように、ぜひこのコラムを利用してください。
・値上がり率ランキング
【第13位】カヤック<3904>……+62.1%(851円→1,380円)
子会社のウェルプレイドライゼスト<9565>が11月30日に上場。買い注文が殺到し、上場初日には値段がつきませんでした。
なぜピックアップしたかというと、「新しい業種は注目される=株価が上がりやすい」ということを知っておいてほしいからです。ウェルプレイドライゼストはいわゆる「eスポーツ」の関連銘柄です。ゲーム大会の企画や制作、その周辺事業を行っています。
「eスポーツ」という言葉自体は数年前からありますし、ゲーム会社はソニーや任天堂、カプコンやコーエーテクモにスクエニ、バンナムなど、たくさんあります。
でも、「ゲーム」ではなく「eスポーツ」という新しいジャンルって、なんだかワクワクするし、何か起こりそうな気がするじゃないですか。こういうワクワク感みたいなものは、注目も集まるし、こうやって大きく株価が上がることがよくあるんですよね。実際の業績なんて関係ないです。
同じような例は、昔からよくあります。
- 「SNS」のmixi<2121>
- 「Vtuber」のANYCOLOR(エニーカラー)<5032>
- 「eスポーツ」のウェルプレイドライゼスト<9565>とカヤック<3904>
きっと今後も、「宇宙」とか「カーボンクレジット」とか、ワクワクを内包するようなジャンルの企業が上場するときには、その会社はもちろんのこと、今回のように親会社も注目されやすくなります。
覚えておきましょう。
・値下がり率ランキング
【第1位】日医工<4541>……-56.0%(466円→205円)
36円で株式市場から退場するというニュースにより、48円まで一気に大きく下落しました。36円で買い取られることが決まっているので「理論的」には36円より高い金額になるはずはないのです。でも、48円を付けた後、月末にかけて一気に上昇しました。5倍くらいの上昇!
これ、要はただのマネーゲームで、買っている人の理由はただひとつ、「自分よりも高く買ってくれる人に売りつけるため」。完全なるマネーゲームと化したのが、この日医工です。
上場廃止や破綻などで、無価値なのに「注目度が高く株価が大きく動くかもしれない」という可能性に値段が付き、理論値など関係なく「より高く売る」ためだけに、こういうことが起こります。
しっかり稼ごう! ただし、地に足をつけて
今まさにマネーゲームが繰り広げられているわけですが、こうした完全なるマネーゲーム(=騙し合い)が起こるのもマーケットのひとつの側面です。綺麗事ばかりではないし、そこから目を背けることはすべきではないとも思います。
デッド・キャット・バウンス(=死んだ猫でも高いところから落とせば弾む)、つまり「価値のない株でも大きく反発する」という格言があるくらい、こうしたことは頻繁に起こる現象であり、これが人間の本質なんだと思います。
私たちは株を売買していますが、その相手は「人間」なんです。
人間というのは、注目されるものに群がるし、新しいものにワクワクするし、知らないものに過度に恐怖を覚えます。そういった人間がつくりだすマーケットには、いつだって価格の歪みがあるし、それと同時に、チャンスがあふれています。
それらをしっかりと認識して、マーケットという大海原でしっかり稼いでいこうじゃありませんか。
最後になりましたが、日医工には絶対に近寄らないこと! ただし、これは歴史に残る値動きになるかもしれないし、人間の?き出しの本質を学べますので、ぜひとも離れたところから今後の成り行きを見守ること。
1日で◎倍!なんて絶対に継続しない博打です。このコラムを読んでくださっている方には、マネーゲームなんかではなく、しっかりと地に足をつけて、運用をしてほしいと心から願っています。
(株の学校ドットコム講師・窪田 剛)